農林水産省のDNA分析手法を使用しての偽装表示防止のための「特別調査」の現状は

 農林水産省では、平成15年7月から原産地表示偽装の監視・指導の強化のために、「一般調査」と「特別調査」の巡回調査を実施しています。
 特に「特別調査」では、価格差等から偽装が行われる素地がある品目について、DNA分析等の科学的手法を活用して、JAS法規定されている品質表示基準が遵守されているかどうかの確認を行っています。
 現在、この調査対象は「牛肉」等に力を入れているようです。
 神戸大学農学部が研究開発した、牛の品種を識別するためのDNAマーカーにより「国産牛肉の黒毛和種」と「ホルスタイン種」、「オーストラリア牛(ヘレフォード種等)」を見分けることが出来るようになっています、識別率は90%を超えるといわれています。
 このDNAマーカーを利用して、農林水産省は流通段階(スーパーマーケット等)においての調査の検査法として使用しています。 
 「和牛」として表示販売されている牛肉を検査を行い「ホルスタイン種」「オーストラリア牛」が検出されることもあるようです。
 この場合は、当然行政指導等が行われることになります。
 牛肉処理のスーパー等のバックヤードの現状は、クロスコンタミの可能性が非常に高い状況にあると考えます。
 偽装といったような思いは当然ない処理担当者がほとんどですが、和牛以外の牛の処理を行った後に、作業場上の洗浄、器具等の区分け及び洗浄が不足しておれば当然、和牛という表示の製品の中に、他の牛の肉片(DNA)が入る可能性は非常に高いと思います。
 意図せぬコンタミ率をどの程度、農林水産省がみてくれているかどうかわりませんが、対象企業としては消費者のためにも正しい表示になる様に、今後更に製品製造現場の品質管理、衛生管理が非常に重要になってくると考えます。(記事:的早剛由)